高貴でとりすました姫君で、源氏の君は親しみが持てない。 子である朱雀帝即位後には皇太后となり、絶大なる権力をふるうことになる。 d 朝夕の宮仕えにつけても、ひどく他の后妃たちの嫉妬をかきたてるばかりで、人からの恨みを受けることが積もったためだったのだろうか、ひどく病気がちになってゆき、何となく心細そうに実家に下がることが多いのを、(帝は)いよいよたまらないほどいとしく不憫なものにお思いになって、人々の非難をもはばかることがおできにならず、世の話の種にもなってしまいそうなご待遇ぶりである。
18覚えいとやむごとなく、上衆めかしけれど、わりなくまつはさせ給ふあまりに、さるべき御遊びの折々、何事にもゆゑある事のふしぶしには、まづ参上らせ給ふ、ある時には大殿籠り過ぐしてやがて候はせ給ひなど、あながちに御前去らずもてなさせ給ひしほどに、おのづから軽き方にも見えしを、この皇子生まれ給ひてのちは、いと心異に思ほしおきてたれば、坊にも、ようせずは、この御子の居給ふべきなめりと、一の皇子の女御は思し疑へり。 第二部はその後光源氏が死ぬまでの晩年を描き、第三部では光源氏死後の子孫たちの模様が描かれています。
4「か」は疑問の係助詞。
l 世間での評価もたいへん重々しく、高貴な人らしく見えるが、(帝が)むやみに近くにおつきまとわせなさるあまりに、しかるべき管弦のお遊びの折々や、何事でも由緒ある行事のふしぶしには、まっ先に参上させなさる、 m またあるときにはお寝過ごしになって、そのまま(翌日も)おそばにお仕えさせになるなど、むやみにおそばから下がらせないよう待遇なさっていたうちに、自然と身分の軽い人にも見えたのだけれど、この皇子がお生まれになってからは、たいそう格別に待遇しようとお心づもりなさっていたので、 n 皇太子にも、悪くすると、この皇子がおつきになりそうに見えると、一の皇子の(母である弘佞殿の)女御はお疑いになっていた。
18この女御は 他の方よりも先に入内なさって、 帝も 貴い方としてお思いなさる気持ちは並々ではなく、皇女たちなどもいらっしゃるので、この方の忠告だけはやはり面倒で、つらいものとお思い申しあげていた。 葵の上 光源氏の最初の妻。 現代の小説のように読みやすい訳をめざした。
11「 唐土 もろこし にも、かかる事の起こりにこそ、世も乱れ悪しかりけれ。 上達部(かむだちめ)、上人(うへびと)なども、あいなく目をそばめつつ、 いとまばゆき人の御おぼえなり。 コメント いつも高貴で才気あふれるみなさん!常日頃から このブログを寵愛してくださってありがとうございます。
9」とだんだん、世間にも、どうしようもないと人の悩みの種になって、楊貴妃の先例も引き出してしまうに違いなくなっていき、とてもきまりの悪いことが多いけれど、(桐壺の更衣は)恐れ多い(帝の)ご愛情が例をみないほどなのを頼りにして宮仕えをしなさる。 」と、 やうやう 天 あめ の 下 した にもあぢきなう、人のもてなやみぐさになりて、 しだいに世間でも苦々しく思われ、人々の心配の種になって、 楊 よう 貴 き 妃 ひ の 例 ためし も引き出でつべくなりゆくに、 楊貴妃の先例までも引き合いに出しそうなほどになっていくので、 いとはしたなきこと多かれど、かたじけなき御心ばへの 類 たぐい なきをたのみにて 交 ま じ らひ給ふ。
2