この主人がどういう考になったものか吾輩の住み込んでから一月ばかり 後 ( のち )のある月の月給日に、大きな包みを 提 ( さ )げてあわただしく帰って来た。
人間てものあ 体 ていの 善 いい泥棒だぜ。 彼は吾輩の近づくのも 一向 ( いっこう )心付かざるごとく、また心付くも無頓着なるごとく、大きな 鼾 ( いびき )をして長々と体を 横 ( よこた )えて眠っている。 ちょっと読者に断っておきたいが、元来人間が何ぞというと猫々と、事もなげに軽侮の口調をもって吾輩を評価する癖があるははなはだよくない。
7それで自分だけはすこぶる達観したような 面構 ( つらがまえ )をしているのはちょっとおかしい。 まず強調しておきたいのは、 猫にアルコールは厳禁だということです。
17背といい毛並といい顔の造作といいあえて他の猫に 勝 ( まさ )るとは決して思っておらん。 それをきっかけに吾輩は世間が物憂く感じられて、不性猫となっていきます。 「いや時々冗談(じょうだん)を言うと人が真(ま)に受けるので大(おおい)に滑稽的(こっけいてき)美感を挑撥(ちょうはつ)するのは面白い。
ようやくの事で動揺があまり 劇 ( はげ )しくなくなったと思ったら、小さな声で一体何をかいたのだろうと 云 ( い )う。 「いたちってけども何鼠の少し大きいぐれえのものだ。
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